国際コーチング連盟のコアコンピテンシーの探求シリーズ。
今日は、2.Embodies a Coaching Mindset (コーチングのマインドセットを具現化する)の中から、6.Develops and maintains the ability to regulate one’s emotionsを見ていきます。
「コーチは自分の感情をコントロールする力を開発し維持する」
とありますが、コーチはなぜこのような力を開発して維持する必要があるのでしょうか?
自分の感情をコントロールする力を開発し維持する理由
その理由は、コーチが自分の感情をコントロールできずにいると、コーチングにふさわしくない状況をコーチが作ってしまう可能性があるからです。
コーチはクライアントの話をよく聞き、観察し、クライアントと共にいる状態をキープするのが理想ですが、
「クライアントと共にいなかった」とあとで気づいた経験はありませんか。
例えば、
1. プロセスを前に進めようという意識が先行して、クライアントの微妙な発信を聴きとっていない
2. アイディアを思いつき言いたくてたまらず、クライアントが考える前につい言ってしまう
3.クライアントの言った言葉が刺激となって、他のこと(to do、過去の自分の経験など)を 考えてしまい、クライアントの話を聞いていない時がある
4.クライアントが話してることを評価したり、アドバイスしたりしたくなる(コンサルタントモードになる)
5.自分のフィルターを通して、勝手な理解、判断をする
6.コーチングがうまくいかず自分のことに意識が向く etc.
このような状況になると、コーチの意識はクライアントから離れてしまいます。
大切なキーワードを聞き逃したり、自分の考えやアイディアを話すことで時間を使ってしまい、クライアント主体のコーチングではなくなってしまいます。
意識が「今ここ」から離れたら、気づき、手放し、「今ここ」に戻る
意識が「今ここ」から離れてしまうこの現象は、脳科学者マイケル・ガザニガさんによると、誰にでも起こりうることのようです。
「無意識の思考処理」
・人は事実確認もせずに、自分が他人の気持ちや望みや求めるものを理解しているとすぐに思い込む
・相手が考えをまとめる前に自分の意見を用意してしまう
無意識の思考処理なので、上記のようなことが起きても不思議ではありませんね。
「コーチとして未熟だ」と自分を責める必要はなく、ただ元の「今ここ」の状態に戻ることができれば、コーチはクライアントと共にいて寄り添うことができます。
そこで、大事になってくるのが、「自分の感情に気づき、コントロールし、それを維持する能力を磨いていくこと」です。
この能力を磨くには、日常の中で「マインドフルネス」を心がけること、日々トレーニングすることが大事ですが、このことについてはまた別の機会に書いていきます。
「クライアントがあなたに求めるのは完璧であることより 寄り添ってくれることだ
ーマーシャ・レイノルズ 」
心に染みる言葉です。