コーチングが上達するには3つの要素「コーチングを学ぶ・コーチングを受ける・ コーチングをする」があると言われています。
「コーチングを受ける」ことで、学んだことの意味がリアルに体感を持って理解でき、それをコーチングするときに生かすことができるので、尤もですね。
国際コーチング連盟(ICF)のコア・コンピタンシー(以下C .C.と記載)を理解する時も、自分のコーチングを受ける経験が役に立ちます。
今日は私のクライアントとしての経験もご紹介しながらC .C.の6-4をご紹介します。
Core Competency 6-4
Notices, acknowledges and explores the client’s emotions, energy shifts, non-verbal cues or other behaviors.
(コーチは)クライアントの感情、エネルギーの変化、非言語的な合図、またはその他の行動に気づき、認識し、探索している
事例1
私自身がクライアントの立場でコーチングを受けているときに、忘れられない経験があります。
私はコーチに対して、「こんなことがやりたい。あんなことがやりたい」と話をしていました。
すると私のコーチは、「言葉では、やりたいと言っているけれど、やりたいという風には聞こえてこないんだけど」とフィードバックしてくれました。
「え? やりたい風には聞こえない?・・・・」
私は心の中で「そんなバカな」「そんなはずはない」という感覚で戸惑っていると、
コーチは次の質問をしました。
「本当にやりたい事は何ですか?」
この質問を受けて私はハッとなり、「うーん、言うのが恥ずかしいんですけれど、実はこんなことがやりたくて、…」と【やってみたいけれど、やるには勇気が持てずにいること】をしばらく話しました。
すると、コーチが笑顔で「それよ、あなたのやりたい事は。さっきまでのトーンと全然違う」と、今度は全く違うフィードバックを返しました。
このフィードバックのお陰で、私はそこで初めて、自分の正直で、同時に、ドキドキしていて前に進めずにいる本心と向き合うことができました。
私のコーチが、言葉とエネルギーの不一致感に気づいて、それを伝え、探究の世界に誘ってくれなかったら、その時の私は自分の本心に蓋をしたままだったかもしれません。
「やらなければならないこと」を「やりたい」という言葉に置き換えたまま、その目標に向かっていたかもしれません。
コーチは微妙なニュアンスを聴き分け、クライアントを探究の世界に誘い、クライアントが自分の本心を探求するパートナーとなるというC.C.6−4の経験をこの時、深く体験したのでした。
事例 2
「~をやろうと思います・・・・」
クライアントの語気が弱く、確信を持って「やる」という感じがしない時、私は聴こえてきた感覚をそのまま伝えるようにしています。
例えば、「今ひとつ確信が持てていないように感じたのですがいかがですか?」「ためらいながら話された気がしたのですが、いかがですか?」
すると、大抵は「そうですよね、実は、本当にやれるかな・・と感じながら話してました」「相手にそんな時間あるかなとちょっと不安を感じてました」などの言葉が返ってきます。
もし、「やろうと思います」の言葉をそのまま受けて、「いつから始めますか?」などと質問しても、クライアントの不安や、未来のイメージができない感覚を掘り下げずに話してもらっているだけになり、クライアントの行動はなかなか起きません。
コーチがクライアントの感情やエネルギーを観察し、それを伝えていくことで、二人で探究の世界に入っていけます。
「本当にやれるかな・・という感覚はどこから来ているのでしょう?」
などの質問から、クライアントがまだ語っていない気持ちや考えを語ってもらうことで本当の行動計画に辿り着いていきます。
まとめ
聴くだけにとどまらず、聴いた後で働きかけていくところまでが、Active Listeningです。
目指すは、「寄り添って集中して聴く」を土台に、「言葉や感情、エネルギーの変化などを観察し、問いかけ、クライアントがまだ語っていなかった世界を探求する」状態をキープすること。
そのためにはコーチは日々、心身を整えておくことが必要だと感じています。